一般に、戦争補償が国家間で処理される問題であるのに対して、戦後補償は被害者、個人に対してなされる補償とされる。1965年6月に結ばれた「日韓請求権並びに経済協力協定」で、日本は韓国に1060億円の経済援助金を提供している。同協定では、「両締約国及びその国民の間の請求権に関する諸問題が、(略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」とされている。ところが、2012年10月に、韓国の大法院(最高裁判所)は、同協定締結交渉の過程で日本が植民地支配の違法性を認めなかったことを理由に、請求権消滅について両国の意思が一致していたとみる十分な根拠がないと判断した。13年7月10日にソウル高等裁判所が新日鉄住金に、7月30日には釜山高裁が三菱重工に対して、韓国人元徴用工への損害賠償を命じた。日本政府は「解決済み」との立場であり、国際法を無視する国内判決は韓国の国際的信用を傷つけるとして、韓国内でも危惧(きぐ)の声がある。