2013年12月に閣議決定された国家安全保障戦略を踏まえて、「政府開発援助(ODA)大綱」(1992年閣議決定、2003年改定)を改定して新たに定められたODA政策の指針。15年2月10日に閣議決定された。基本方針には、(1)非軍事的協力による平和と繁栄への貢献、(2)人間の安全保障の推進、(3)自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話・協働による自立的発展に向けた協力、が掲げられている。
環境問題や感染症など国境を越える問題、海賊行為や国際テロなど国際の平和と安定に対する脅威、脆弱国家の人道問題など世界各地であらゆるリスクが増大している。開発課題もいっそう複雑化かつ多様化、広範化し、開発に関わる主体や資金も多様化している。こうした現状を踏まえて、日本がこれまで実施してきた支援の蓄積を基礎に日本の強みを生かしつつ、各主体との連携を強化して効果的、戦略的に開発協力を行う必要が確認されたのがこの新大綱である。また新大綱では、日本のODAを通じて国際社会の平和と繁栄に貢献するという視点が強く打ち出されている。同時に、質の高い成長による安定的発展を実現するため、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値の共有をめざすとともに、平和で安定し、安全な社会の実現のための支援を行うことが重点課題に明記されたことも、今後の日本の開発協力の方向性を示すものとして重要であろう。