米軍が世界規模で進める変革・再編(トランスフォーメーション)の一環として、在日米軍の再編問題が具体化した。すでに在韓米軍については3分の1程度の兵力削減が決まっているが、米軍は前方展開戦力を量的に削減してコストを低下させながら、軍事技術革命(RMA)に依拠して質的向上を図る方向にある。2004年8月16日には、ブッシュ米大統領が在外米軍6万~7万人の削減方針を発表した。これを受けて、05年2月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、北朝鮮や中台問題への対応を盛り込んだ「共通戦略目標」が策定され、在日米軍の再編についても数カ月で結論を出すことで合意した。日本の政局の混乱もあって中間報告の発表が遅れたが、同年10月に「日米同盟・未来のための変革と再編」と題して報告がまとまり、06年5月には「再編実施のための日米ロードマップ」として最終とりまとめがなされた。これにより、沖縄県の普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸の辺野古地域への移設と、在沖縄海兵隊8000人のグアム移転を14年までに実現するほか、米軍横田基地の一部空域の管制業務の返還、厚木基地の空母艦載機の岩国基地移駐、陸軍第1軍団司令部のキャンプ座間移転も決まった。この再編の日本側負担額は約3兆円、海兵隊グアム移転の日本側負担額だけでも7000億円(全体の59%)に上る。米軍と自衛隊との円滑な統合が課題となる。ただし、普天間飛行場の辺野古地域への移転は、沖縄県や名護市が計画の微修正を求めて前進していない。防衛省は在日米軍再編への協力度合いに応じて、地方自治体に再編交付金を支給することになっている。