2004年4月2日、日米合同委員会は、日米地位協定の運用の一部見直しに合意した。同協定第17条5(C)によると、米軍関係者が被疑者で、その者の身柄が米側にある場合、日本から公訴が提起されるまで被疑者の拘束は米側が行うとされている。だが、1995年の日米合同委員会合意で、米側は「殺人または強姦という凶悪な犯罪の特定の場合」、起訴前でも日本側の身柄引き渡し要求に「好意的考慮を払う」とされ、「その他の特定の場合」にも「十分に考慮する」ことになった。今回の新合意では、日本の捜査当局が、米軍側の捜査に協力するために、米軍司令部の代表者が取り調べに同席することを認める一方、米側は起訴前の身柄引き渡しを、95年合意の「その他の特定の場合」に関して、日本側が重大な関心をもついかなる犯罪についても、排除しないことを確認した。米軍関係者の取り調べへの立ち会いを認めることで、米兵の人権に配慮しながら、起訴前の引き渡しを迅速かつ容易にすることで、地位協定そのものの改定を避けながら、日米関係の安定を図ろうとするものである。だが、米軍基地の集中する沖縄では、これでは不十分で、地位協定の抜本的な見直しが必要だとの声が、依然として強い。2004年8月13日に米軍ヘリコプターが沖縄県内の私立大学のキャンパスに墜落し、その後、米軍が地位協定を理由に地元警察の取り調べを拒否したことから、こうした批判が再燃した。11年11月に、公務中に日本で事故を起こした米軍族の裁判権を条件付きで日本で行使できること、公的行事の飲酒後の米軍人・軍属の交通事故も日本で起訴できることで、日米合同委員会が合意した。