日本初の情報収集衛星(IGS)は2003年3月28日、種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた。地上1mの物体を識別する光学衛星と夜間や悪天候でも使えるレーダー衛星の2機で、高度約500kmで南北方向に地球を1日15周し、地上のどの地域も1日に1回は撮影できる。政府は同じタイプの2機を同年9月10日に打ち上げ予定だったが、ロケットの不具合で延期した。1998年8月の北朝鮮の弾道ミサイル・テポドンの発射を機に導入を決定。2006年度に予備機2機、08年度に識別能力50cmの第2世代後継機2機を打ち上げた。01年4月、運用・管制のための内閣衛星情報センターが発足。02年3月までにデータ処理や解析を行う中央センター(東京)、副センター(茨城)とデータ受信局(鹿児島、北海道)、03年にはオーストラリア西部に地上基地2カ所を建設。集合部品11品目を米国から購入のため、日米両政府は1999年9月、秘密保護などに関する交換公文と了解覚書(MOU)を交わした。2008年5月には、宇宙基本法が成立し、「非侵略的」目的なら軍事衛星を利用できることになった。09年4月に北朝鮮が人工衛星と称してミサイルの発射実験を断行したことから、日本の情報収集衛星の重要性はさらに高まっている。