ソマリア沖・アデン湾の海賊問題に対する自衛隊の取り組みは、2009年3月に防衛大臣の発令する海上警備行動として始まり、7月以降は海賊対処法(同年6月成立、7月施行)に基づく海賊対処行動として行われるようになった。派遣海賊対処行動水上部隊および航空隊は、アデン湾を往復しながら民間船舶を直接護衛するのに加えて、13年7月からは第151連合任務部隊(CTF151、アメリカ、オーストラリア、イギリス、トルコなどが参加)に参加し、湾内の割当区域でゾーンディフェンスを実施している。当初、派遣海賊対処行動航空隊(11年現在、海上自衛隊120人、陸上自衛隊60人で構成)は、在ジブチ米軍基地を活動拠点としていたが、11年6月1日からは防衛省・自衛隊がジブチ国際空港北西地区に整備した活動拠点の運用を開始した。自衛隊の初の海外活動拠点となる同拠点は、自衛隊専用の駐機場(収容機数3機)や整備格納庫などの運用関連施設、司令部庁舎、隊員宿舎などの生活関連施設を備えている。
アデン湾の西の入口、紅海の南の入口に位置するジブチは海上交通の要衝であり、防衛省は13年末(2013年防衛計画の大綱策定)以降、国際平和協力活動等を効果的に実施する観点から、同拠点のさらなる活用のための検討に着手した。16年現在、同拠点は海賊対処に加えて南スーダンPKO、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)部隊への物資の輸送、政府専用機の運航、国際緊急援助活動に際しての中継地などとしても利用されている(中谷元防衛大臣答弁、第190回国会衆議院予算委員会、16年1月12日)。