2016年11月23日、ソウルで長嶺安政駐韓大使と韓民求(ハン・ミング)韓国国防相が署名。日韓両国政府間で相互に提供される、国家安全保障のために保護する必要のある防衛関連情報を、受領国政府が自国の国内法令に従って保護するために執る措置等について規定している。秘密指定や文書の保管・破棄の方法、情報にアクセスできる者の限定などをルール化するとともに、事前承認なしでの第三国への情報提供や目的外での使用を禁止する。北朝鮮の核・ミサイル開発などの秘密軍事情報などについて、日韓両政府間でさらに円滑かつ迅速な情報交換が行われることが期待されている。
もともと本協定は、両国間の防衛協力・交流の推進のために情報共有が必要であるとの観点から、11年1月に行われた日韓防衛相会談でその推進が合意された。外務・防衛当局間の協議を経て12年6月に署名される予定であったところ、直前になって韓国側から国内事情により延期したいとの要請があり、4年半にわたって棚上げ状態となっていた。北朝鮮の軍事的挑発がなかば恒常化し、さらにアメリカのトランプ新政権の同盟政策やアジア太平洋戦略に不安がもたれる状態で、日韓の防衛協力を強化する必要性については両政府とも認識を共有しているものの、韓国側は朴槿恵(パク・クネ)大統領が友人の国政介入疑惑で求心力を大幅に低下させるなかでの締結となった(16年12月、同大統領に対する弾劾訴追案を韓国国会が可決。17年3月、憲法裁判所は同大統領の罷免を決定)。朴政権に対する批判から、韓国野党には本協定を破棄すべきであるとの主張も強い。