王政復古(1660年)後のイギリスで、チャールズ2世が、その私用の個室(cabinet)に信頼する臣下を集めて、国政に関して諮問したことに起源するといわれている。イギリスでは、19世紀の中ごろまでには、「行政府たるべく選ばれた立法府の一委員会」(バジョット)として、内閣は議会に存立の基礎をもつ行政府の最高意思決定機関となった。内閣の構成員である大臣は総理大臣が任免権をもち、首相の統率のもとに内閣は連帯して議会に対して責任を負う。イギリスで発展したこの制度は多くの近代国家にそれぞれの国情に合わせた形で採用された。現在では、国家が関与する仕事の飛躍的な拡大、専門化、統合の必要から、特定の重要問題を担当する関係閣僚委員会の設置、また、イギリスに見られるように閣内相と閣外相の分離、さらに、首相の権力の上昇とこれに伴う首相府や内閣官房など首相や内閣の補佐機構の充実などが見られる。なお、大統領制度をもつアメリカでも、副大統領や各省の長官などを構成員とし、行政の運営で大統領を補佐する内閣が存在するが、正規の意思決定機関ではない。