現在の議院内閣制では内閣総理大臣は国民から選ばれた国会議員の投票により選ばれているが、内閣総理大臣を国民の直接選挙で選ぶ方式。強力な首相のリーダーシップを期待して提唱されるが、この場合、議会が首相を不信任できるようにするか否かで政治運営のやり方も相当かわる。いずれにしても議院内閣制を定めた現行憲法の改正が必要となる。中曽根康弘氏が首相になる前に唱えたのが有名であるが、小泉純一郎首相も推進派で、「首相公選制を考える懇談会」を発足させた。懇談会は2002年8月に、国民が首相指名選挙を直接行う案、議院内閣制を前提とした首相統治体制案、そして、現行憲法の枠内における改革案という3案を併記した報告書を作成したが、公選制をめぐる討論はその後下火となっている。議会の多党化が進み、公選首相の政権基盤が安定しなくなったために01年3月に首相公選制を廃止したイスラエルの例もある。