内閣が総辞職した後であっても、憲法71条の規定により、その内閣は「あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ」。行政執行に断絶があってはならないからである。このように総辞職したにもかかわらず次の首相または内閣が誕生するまでの間、内閣の仕事を行うのが職務執行内閣である。その性格からいって職務執行内閣の仕事は、基本的には、必要最小限のルーティン的なものに限定される。戦後の職務執行内閣でもっとも長期間の例は、選挙期間中の1980年6月に大平正芳首相が死去した第2次大平内閣の場合で、鈴木内閣発足まで35日間続いた。それに続く例は片山内閣の29日間で、これは後継首相をめぐる各党の協議がまとまらなかったためである。