1946年(昭21)11月3日に公布され、翌年5月3日から施行された現行の憲法典。これまで改正されたことは一度もなく、四つの段落に分かれた前文、これに続く全10章99か条の本則、4か条の補則(11章)という三つの部分からなる。本則は、古典的な憲法典の例にならい、「国民の権利及び義務」(3章)を定める権利宣言の部分と「天皇」「国会」「内閣」「司法」(1章・4~6章)などからなる統治機構の部分から構成される。全体としては、第一次世界大戦後の1920年代に制定されたヨーロッパ大陸諸国の新憲法の傾向を受け継いでいる。ただ、米軍を主力とする占領管理体制の下に制定された特殊事情を反映して、刑事手続の基本原理を詳細に定め(33~39条)、最高裁判所の違憲審査権を認めた点(81条)など、アメリカ的な法の支配の考えを示す部分も多い。ただ、第10章にいう「最高法規」(98条1項)の規定は、アメリカ合衆国憲法に由来するが、これは連邦法一般が州法に優位することを定めたもので、単一国である日本では意味がない。