「憲法」というとき、「形式的意味の憲法」と「実質的意味の憲法」が区別される。前者は、国政上の組織や内容に関する定めが系統立てて書かれた一つの法典(憲法典)を指す。後者の「実質的意味の憲法」とは、国家生活で必要とされる統治の組織や作用に関する定めをすべて指し、憲法典として書かれているかどうかを問わない。「実質的意味の憲法」は、イギリスのように多くの国政規範が先例・慣行によって占められ、断片的に議会制定法(法律)がある場合もあれば(不文憲法)、多くの国のように主要な部分は憲法典で定め、残りの多くを法律が定めるという形をとることもある(成文憲法)。この成文憲法体制において、「実質的意味の憲法」に属する法規範、またはそれを定めている法令を憲法附属法という。とくに憲法典の条項が簡略に書かれている場合、その内容は最高裁が示す憲法判例とともに憲法体制のあり方を大きく左右するので、憲法附属法の制定・改廃は重要な意味をもつ。日本国憲法の下では、皇室典範・国会法・公職選挙法・裁判所法・内閣法・国家行政組織法・財政法・会計検査院法などの法律がある。そのほとんどは憲法制定前後に作られたが、1990年代の前半から、選挙法・内閣法・国家行政組織法を始めとして大幅な見直しが相次ぎ、「憲法改革」が進んでいる。