日本国憲法は、(1)各議院の総議員の3分の2以上による賛成で国会が憲法改正案を発議・提案し、(2)国民投票における過半数の賛成で確定し、(3)天皇による公布で完結する、という改正手続を定めている(96条)。これまで憲法改正の提案が行われたことはないが、憲法改正手続法(平19法51)は、衆議院で100人・参議院で50人以上の議員により発議しうること、憲法改正国民投票に参加しうるのは18歳以上の日本国民であること、賛成・反対を合計した有効投票数の過半数で承認されたものにすること、両議院の憲法調査会に替えて憲法審査会を設けることなどを定めている。憲法改正について、一定の限界があるとするのが学説上有力であるが、国政の最終決定権が国民にあるとして国民主権を強調する一方で、必ず国民投票にかけて改正の是非を問うしくみになっているのに限界があると説くのは、説得力を欠く。モデルとなった欧米諸国の憲法と比較すると、日本国憲法は20世紀初めまでの古典的な憲法類型に属する。規定のしかたも簡短にすぎるきらいがあり、内容的にも時代に合わない部分が多くなってきた。むろん、最高裁判所や内閣法制局を中心とした公権解釈は、日本国憲法を現代に適合するよう努力を重ねており、選挙法・内閣法その他の憲法附属法の改廃による制度改革もありうるが、これにも限界がある。かつて憲法改正論議そのものがタブー視される傾向も見られたが、積極的に時代にふさわしい人権規定と効率的な統治のあり方を求めて憲法の見直しを求める声も強くなり、各種の世論調査でも憲法改正に賛成する意見が大半を占めるようになっている。