政治と宗教または国家と教会の関係は国によって大きく異なり、先進諸国でも国教制・公認宗教制・分離制(政教分離)と分かれる。ただ、いずれの場合でも信教の自由は普遍的人権として保障され、両者が衝突するときは、政教分離原則を採用するアメリカ合衆国・フランスでも、信教の自由の方を優先する。日本でも、「エホバの証人」信者が格闘技授業を拒否して退学処分を受けた神戸高専事件において、最高裁は、政教分離原則を理由に代替措置を講じなかった学校側の態度を不当とし、信仰上の理由に基づく代替措置は違憲とはならないと判断したことがある(1996年3月8日第二小法廷判決)。内心における信仰はもちろん、布教・集会などの宗教活動や共同目的を達成するために人々が結合する宗教団体の設立も、信教の自由の表れとして公権力による干渉を受けない(憲法20条)。ただ、個人・団体を問わず、刑罰法規にふれるような反社会的活動まで許されるはずはなく、そうした行為は当然に処罰の対象となる。宗教団体の設立の自由は、結社の自由(憲法21条)の表れとしても理解され、教団の組織・運営についての自由(教会自律権)も保障される。ただ、それに対して財産法上の権利義務の主体としての地位(法人格)をどこまで認めるか、税制上の優遇措置をどこまで認めるかなどは、非営利団体一般に関する法制度の問題として別個に考えなくてはならない。オウム真理教事件を契機に51年に制定された宗教法人法の不備が指摘され、所轄行政庁への活動報告や信者への情報開示などの法改正が行われた(95年12月)。法令に違反して著しく公共の福祉を害すると認められ、本来の目的を著しく逸脱したことが明らかな宗教団体は、司法手続により法人格を奪う解散措置をとることもできる(最高裁98年1月30日決定、オウム真理教事件)。