2004年に成立した「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(平成16年法律63号)、つまり裁判員法によって設けられた制度で、重大な犯罪(死刑・無期懲役等に当たる罪と殺人罪)について、裁判官3人と裁判員6人からなる合議体が、事実の認定、法令の適用、刑の量定を行うものをいう。ただし、法令の解釈・訴訟手続に関する判断は裁判官に委ねられるので、裁判員の意見が法令の解釈それ自体を左右することはない。裁判員は、有権者の中から1年ごとに抽出して作成された候補者名簿の中から、事件ごとに、無作為で選ばれ、公判期日に出頭して審理に参加するが、事件や評議の内容につき守秘義務を負っている。憲法には国民の司法参加を想定した規定はないとして裁判員制度は憲法違反であるとするとの主張が展開されたが、最高裁大法廷は、憲法は刑事裁判における国民の司法参加を許容しており、憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り、その内容を立法政策に委ねているとして合憲判断を下している(11年11月16日)。09年5月からスタートし、10年1~12月には強盗致傷・殺人・放火・覚醒剤取締法違反などの罪に問われた1506人の被告人に判決が言い渡されたが、裁判日数が長くなると裁判員の負担が重くなるなど、課題もある。