性別・能力・年齢等の事実的な違いを前提としつつ、法的な権利・義務について同一の事情と条件の下では人は等しく取り扱わなければならない、という原則。「等しき者は等しく、等しくない者は等しくなく」という要請は、古代ギリシャ以来、法または正義の核心とされてきた。平等の具体的な意味は社会や時代により異なるが、身分制を否定して成立した近代社会は市民に等しい法的地位を承認することを根本原理としている。市民社会への政府の介入を排除すべきものと考えれば機会の平等が保障されるにすぎないが、政府の関与が求められる現代社会にあっては、女性の社会進出のための積極的是正措置(ポジティブ・アクション)のように、結果の平等を実現するための別異取り扱いも一定の範囲で許される。日本国憲法は法の下の平等とともに(14条1項)、貴族制度の廃止・栄典に伴う特権の禁止(14条2項・3項)を定め、選挙(15条3項・44条)、婚姻・家族生活(24条)、教育(26条1項)の各分野において平等原則を具体化している。合理的な根拠のある別異取り扱いであれば平等に反しないと解するのが判例・通説であるが、最高裁大法廷が違憲と判断した法律としては尊属殺重罰規定(1973年4月4日判決)、国籍取得に関する非準正子の差別(2008年6月4日判決)、法定相続分に関する婚外子差別(13年9月4日決定)、女性の再婚禁止期間(15年12月16日判決)がある。