日本国憲法前文及び9条における戦争放棄、戦力不保持及び交戦権の否認のこと。国際法において不戦条約(1928年)により戦争が違法化された後は多くの憲法が侵略戦争の放棄を定めているが、日本国憲法は前文で平和的生存権を確認した上で、「第2章 戦争の放棄」において国権の発動たる戦争、武力による威嚇及び武力の行使を放棄し(9条1項)、戦力不保持及び交戦権の否認を定める(2項)。かつてはいわゆる芦田修正により「自衛戦力」による自衛戦争が可能であると説かれる場合もあったが、現在では政府見解を含め、憲法は一切の戦力の保持を禁止し自衛戦争も放棄したものと理解するのが一般的である。政府は早くから、日本国への武力攻撃に対して必要最小限度の実力を行使することは個別的自衛権により認められており、自衛隊の存在も憲法に違反しないと説明しており、自衛隊違憲論との論争が国会内外で展開された。砂川事件で最高裁は、日米安全保障条約が一見明白に違憲ではないとしたが(59年12月16日大法廷判決)、自衛隊の前身である警察予備隊については憲法判断を行っていない(52年10月8日大法廷判決)。90年代以降はPKO(国連平和維持活動)法・テロ対策特措法等により自衛隊の活動範囲が拡張され、2003年には有事法制が整備された。14年には集団的自衛権の行使の一部を合憲とするよう政府見解が変更され、15年に平和安全法制が整備された。