議会と政府が一応分立しつつ、議会(両院制の場合には下院)の信任を内閣の存立条件とするしくみのこと。国政の透明性や説明責任を確保し、議会多数派と政府の間の協力関係をもたらす利点があり、議会に政府が従属する議会統治制や政府が議会から独立する大統領制などと対比される。議院内閣制は、イギリスの政治慣行から成立して立憲君主制の各国で採用されたもので、明治憲法では採用されなかったが、政党の発展により大正から昭和初期にかけて議院内閣制的な運用が見られた。日本国憲法は、内閣が行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うと定め(66条3項)、国会による内閣総理大臣の指名(67条)、衆議院の内閣不信任決議(69条)などを規定して、議院内閣制を採用している。政府が議会解散権を有することが議院内閣制の一つの特徴と理解されてきたが、イギリスでも2011年に議会任期固定法が成立するなど、政府の自由な解散を制限する例が増えている。日本では衆議院の解散は天皇の国事行為であり(7条3号)、現実には内閣が助言と解散により自由に衆議院を解散してきたが、郵政解散(05年)などについて解散権の限界が議論されている。