核軍縮を人道的側面から進めようという考えで、核軍縮の人道的アプローチともいわれる。これまで核軍縮は、国際安全保障および戦略的安定性の強化といった側面からアプローチされてきたが、2010年NPT再検討会議で、スイスは、核兵器の使用の正当性の議論を開始すべきであり、核軍縮の議論の中心に人道的側面を持ち込むべきであると主張した。その会議の最終文書は、核兵器のいかなる使用からも生じる壊滅的な人道的影響に深い懸念を表明し、すべての国が国際人道法を常に順守する必要性を再確認した。赤十字国際委員会総裁は、会議直前の4月に、いかなる核兵器の使用も国際人道法に合致するとみなすことは困難であり、核兵器を禁止し完全廃棄する国際条約の交渉を追求すべきだと述べた。11年11月には、赤十字国際委員会と33カ国の赤十字・赤新月運動代表者会議が同様の決議を採択している。12年5月のNPT再検討会議準備委員会において、スイスなど16カ国が「核軍縮の人道的次元に関する共同声明」を読み上げ、同年10月の国連総会において34カ国が同様の共同声明を読み上げている。