分離独立や分裂、合併や領域の一部移転などの領域権の変動が生じる際、先行国が締結していた条約や財産・債務・公文書などが承継国に移転するかという法的問題。国連は多くのアジア・アフリカ諸国が独立して加盟を果たした後、1978年に条約についての、83年には国家財産等についての国家承継に関するウィーン条約を成立させた。両条約とも権利義務の移転を意味する継続性の原則を一般的に採用しているが、分離独立の場合は植民地から独立する国の自決権を尊重して、承継国に条約を選択する余地を残すとともに、義務の移転によって新独立国に不利な状況が生じない配慮が導入された。しかしその後のソ連や旧ユーゴ連邦の分裂に際しては、条約相手国との個別交渉や国連など国際機構の加盟国としての地位についてなど、関係国や諸機関の合意を通じて問題を解決する傾向が見られる。