一国の国内問題や国内管轄事項への、他国や国際機構の強制的介入を禁止する原則で、内政不干渉の義務ともいわれる。自国の排他的な主権の主張は同時に他国の主権の尊重にもつながり、国際法上の国家の基本的義務(→「主権」)でもある。また国連憲章2条7項は第7章の強制措置の場合を除き、国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えないと明記する。ただし国内管轄事項の内容は固定的ではなく、国際の平和と安全を危うくする事態や大規模人権侵害などは、国際関心事項として国連で積極的に取り上げられている。さらに人道への考慮から介入する事例も伝統的に認められ、人道的干渉は不干渉義務の例外として扱われてきた。しかし濫用(らんよう)の恐れがあるところから、1991年の国連によるクルド難民の救援や99年のNATO(北大西洋条約機構)軍のコソボ空爆など、国際機構の活動として行われることにより正当性が主張されている。