宇宙空間の法制度を樹立する、国連総会で成立した多数国間条約。1957年10月ソ連が初めての科学衛星を打ち上げたのに続き、アメリカも3カ月後には衛星を打ち上げた。以後各国の宇宙活動が始まるが、国際的には領空主権が確立しただけで、宇宙空間についてはいかなる合意も実行例もなかった。そこで58年に国連が宇宙空間平和利用委員会を設置して法律問題の検討を付託し、63年には宇宙法原則宣言が総会で採択された。66年にその内容が条約化されたのが宇宙条約で、活動開始から10年以内に国際法制度が実現した、国連による法定立の成功例とされる。条約は翌年発効し、世界の約半数の国が批准している。宇宙空間では領空とは異なる法制度が採用され、利用や活動の自由・領有禁止・平和利用の原則が確立された。宇宙飛行体は登録国の管轄下にあり、私企業など私人による活動から生じる責任をも登録国が負うという国家への責任集中原則が導入された。また軍事利用や核実験などは禁止され、それを確保するために相互査察が行われ、加えて事故や遭難の場合の援助や、宇宙と地球の環境悪化の防止などで国際協力が規定される。