内水を含む領土と領海の上空で、国家領域の中では最も遅く20世紀に入って領空制度が実現した。航空機の実用化に伴う各国の国内法、第一次世界大戦後の国際航空条約、1944年の国際民間航空条約(シカゴ条約)を経て、20世紀半ばまでには領空主権の原則が慣習法上確立した。領空は領域国の完全かつ排他的な主権の下に置かれ、領海のように無害通航権は認められない。従って外国の航空機の無断領空侵入は、領空侵犯として国際法上の違法行為とされる。警告に従わない侵入機には撃墜を含めた措置が可能とされるが、83年の大韓航空機事件を契機に民間航空機には認められていない。公海や排他的経済水域(EEZ)の上空はすべての国に開放される公空といわれ、航空機内では船舶と同じ旗国主義(→「公海」)がとられる。また領空と公空の境界に防空識別圏または接続空域を設ける慣行があるが、その国際法上の合法性は確定していない。