二つ以上の国家または国際機構間で文書により締結され、国際法によって規律される国際的な合意で、慣習法と並ぶ国際法の主要な法定立手段。条約のほか協定・規約・憲章・議定書・宣言・交換公文等の名称が、先例に従って自由に使用される。国王の間の私的契約から発展した二国間条約が基本であったが、19世紀以降、国際社会の共通ルールを定める多数国間条約が増加した。条約は全権委任状をもつ代表者間で交渉され、内容が確定した段階で署名(調印)される。技術分野の条約など簡略形式による条約はこのまま発効することもあるが、正式の条約は各国の憲法に規定される条約締結手続きに従って権限ある国内機関に提出され、批准など条約の拘束に対する最終的な同意が表明される。すべての署名国あるいは一定数の署名国が同意を表明した段階で、条約は同意国についてのみ拘束力を生じ、原則として第三国を拘束することはない。締結過程で代表者や国に対する強制があった場合や、内容が一般国際法の強行規範(合意により覆せないルール)に違反している場合は無効とされる。規定に基づくか当事国の合意によって条約の廃棄・終了が可能で、当事国による条約の重大違反など、客観的終了原因とされる事項もある。条約に関するルールは慣習法として発展してきたが、国連国際法委員会により1969年のウィーン条約法条約として法典化され、世界の半分以上の国により批准されている。なお近年は締約国会議が条約成立後に、場合によっては定期的に開催されることが多く、その重要性が注目されている。