ジュネーブ諸条約は第二次世界大戦後の1949年に締結された国際人道法に関する四つの多数国間条約で、赤十字条約または戦争犠牲者保護条約ともいわれる。傷病兵や難船者の保護に関する第1条約と第2条約は19世紀の赤十字条約を発展させ、捕虜の待遇に関する第3条約も29年の条約を改訂した。紛争または占領地の文民(非戦闘員)の保護を定める第4条約は、慣習法を法典化すると同時に新たに条約化された。ほぼすべての国ともいえる190カ国以上が締約国で、日本は53年に4条約に同時加入した。追加議定書は77年に成立し、国際的武力紛争の犠牲者保護の第1追加議定書と、非国際的武力紛争に適用される第2追加議定書に分かれる。条約成立以降の武力紛争の進展に対応した内容で、特に植民地独立戦争や内戦にも適用可能な改善が見られる。両追加議定書の締約国は160カ国程度で、条約ほどには普及していない。日本はイラク戦争後の2004年に両議定書に加入した。またアフガニスタン攻撃後、アメリカが拘束者を不法戦闘員として、第3条約が適用される戦時捕虜の扱いをしていないことが批判されている。