戦争が国家間の武力紛争であるのに対して、合法政府と反政府勢力の間の権力または分離独立をめぐる一国内の武力抗争で、内乱や非国際的武力紛争とも呼ばれる。内戦は伝統的には国内問題であり、外部からの干渉は国際違法行為と見なされた。従って国際法が内戦に関与しなかったため、内戦は国際人道法の規制を受けることなく、多くの残虐行為が放置されてきた。これに対する人道的観点に基づく批判から、ジュネーブ諸条約は内戦の場合にも適用すべき最小限の人道規則を規定した。しかしそれでは不十分であるとして、1977年には第2追加議定書が成立して詳細な規則が定立された。なお植民地の民族解放戦争は伝統的には内戦とされていたが、77年の時点で自決権の行使としての国際的武力紛争となり、戦時国際法の適用が第1追加議定書で明確にされた。国連の設立以降、国家間の伝統的な戦争は減少したのに対して、内戦は増大してきている。