生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、および遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を目的とする条約。特に、経済的・技術的な理由から取り組みが十分ではない開発途上国に対して、先進国が遺伝資源の取得や関連技術の移転などを、適確な資金供与をすることで達成するという目的がある。ワシントン条約やラムサール条約を補完するという役目も担っている。正式名称は「生物の多様性に関する条約」。1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで採択され、93年12月に発効。日本は同年5月に条約を締結した。締約国は主に次のことを行うものとされる。(1)生物多様性の保全と持続可能な利用のために国家戦略または計画を作成すること、(2)保全が重要な地域および種を特定し監視すること、(3)生物資源の保全および持続可能な利用についての考慮を自国の意思決定に組み入れること、(4)先住民の伝統的な薬法など、利用に関する伝統的・文化的慣行を保護し奨励すること。条約はこれらの諸規定にいかなる留保も認めない。また、条約の実施のための締約国会議、事務局、科学上および技術上の助言に関する補助機関が設置されている。生物多様性の保全と持続可能な利用に悪影響を与えうる遺伝子改変生物の規制に関しては、「生物多様性条約バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」が採択されている。2015年3月現在、締約国は欧州連合(EU)を含む194カ国・地域。