米軍が主として中国軍の接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略を相殺するために構想中の作戦戦略。主要な作戦として、敵の先制攻撃による被害の極限化(弾道ミサイル防衛や基地の分散・抗堪化等)、敵の指揮統制・情報活動の盲目化(精密誘導兵器や電子攻撃機による敵C4ISR網の無能化やサイバー・宇宙戦の遂行等)、敵の長距離打撃兵器システムの制圧(長距離打撃兵器による敵長距離ミサイル発射基地の破壊・無能化、電子攻撃機による敵防空網の無能化等)が含まれる。1980年代のエアランド・バトル(AirLand Battle)が航空及び陸上主体の作戦であったのに対し、この戦略では、航空および海洋の作戦が基本で、空・海軍の統合運用が重視される。例えば、空軍による敵情報収集システムやミサイル発射基地への攻撃は海軍艦艇の機動の自由に貢献し、空母や潜水艦からの敵防空網への攻撃は空軍機の対地攻撃を容易にする。また、同盟国の支援(基地提供、弾道ミサイル防衛の強化、積極的な対潜水艦戦等)の不可欠性も強調される。なお、本戦略の構築にあたっては、対イラン戦略への適用も視野に入れられている。この構想は、2010年2月にアメリカのオバマ政権が発表した「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」にも盛り込まれた。