米軍が想定する2020年ころの中国軍の作戦戦略。この戦略の狙いは、西太平洋地域で紛争が起こった場合、作戦領域への米軍の進出を遅滞させるとともに、同領域での行動の自由を妨害することにある。このため、中国軍は大規模な先制奇襲攻撃を実施し、西太平洋地域に存在する米海空軍の作戦基地・兵站拠点(港湾、兵站線を含む)・C4ISR網(軍事衛星を含む)を減殺・麻痺(まひ)させるとともに、米空母を撃沈・無力化する。使用する主たる兵器は、対艦・対地弾道ミサイル、巡航ミサイル、潜水艦搭載魚雷、情報戦兵器等である。米軍が適時適切にその戦力を戦場に投入した場合、その圧倒的な軍事的・技術的優位から、中国軍は通常戦で対抗できないと考え、このような非対称戦戦略を採用するであろう、と米軍は予測する。米軍は、この戦略を「西太平洋地域における米軍の前方配備やパワー・プロジェクション(→「パワー・プロジェクション能力」)にとって重大な脅威となる」と見て、これに対抗するためエアシー・バトル(ASB)構想を開発中。