1991年12月、「南北基本合意書」を生んだ南北高位級会談とは別途に行われた南北間の核問題に関する代表接触で採択された文書(92年2月発効)。南北非核化共同宣言ともいう。背景としては、ブッシュ(父)政権が行った戦術核撤去宣言(91年9月)と盧泰愚大統領の「韓半島核不在宣言」(91年12月)を受け、韓国が主張していた朝鮮半島「非核化」に北朝鮮が同調する環境が生まれたことが挙げられる。ここで南北双方は、核兵器の実験・製造・生産・接受・保有・貯蔵・配備・使用を行わないことを宣言したほか、核エネルギーをもっぱら平和利用に限ることに加え、ウラン濃縮施設、核再処理施設を持たないことを約した。したがって、2002年10月に発覚した北朝鮮の高濃縮ウラン計画は、この文書に対する明白な違反行為となるが、北朝鮮はアメリカの策動によって宣言が「白紙」に戻ったと主張している。また、この文書では、朝鮮半島の非核化を検証するため、「相手側が選定して双方が合意する対象に対し」相互査察を実施することがうたわれたが、相互査察は南北双方の合意を前提とし、一方が拒否すれば実現しないかたちになっており、現在に至るまで一度も実施されていない。なお、05年9月、第4回6者協議で採択された共同声明(→「6者協議共同声明」)では、この宣言は「順守されかつ実施されるべき」であると明記された。