2010年3月26日朝鮮半島西側の黄海で南北を分ける北方限界線(NLL ; Northern Limit Line)に近い白島周辺を巡航していた韓国海軍哨戒艦「天安」が浸水、沈没し46人が死亡した事件。その後、海外専門家も含む韓国軍・民間合同調査団による調査結果に基づき、5月に北朝鮮の魚雷発射による結果であると韓国政府が発表した。韓国政府による国連安保理での制裁提起や独自の制裁強化に対して、北朝鮮は事件への関与を真っ向から否定、事件を韓国の「ねつ造」と決めつけた。中ロは韓国政府の発表を支持しなかったため、結局国連安保理は、7月北朝鮮への名指し非難を避ける形で、重大な憂慮を示すという議長声明を発表するにとどめた。また、米韓は、北朝鮮に対する対抗措置として黄海上での米韓軍事演習を計画したが、中国の猛反発に配慮し日本海に場所を変更し、7月過去最大規模の米韓軍事演習を行った。さらに、アメリカのオバマ政権は8月北朝鮮に対する追加金融制裁を断行した。しかし、韓国国内では、李明博政権への不信も相まって、北朝鮮の仕業であるという韓国政府の発表に疑問を呈する見方も根強く、3割の国民が政府発表へ不信感を持つという世論調査が発表された。また、政府発表直後の6月統一地方選挙での与党敗北の一因として、事件を契機に南北の緊張が激化することを警戒した世論の存在を指摘する見方もある。