安哲秀(アン・チョルス)は1962年釜山生まれの企業家で、ソウル大学融合科学技術大学院院長、安哲秀研究所理事会議長などを歴任し、2012年12月第18代韓国大統領選挙に無所属候補として立候補を表明したが、公示直前に野党民主統合党文在寅(ムン・ジェイン)候補への一本化を表明して立候補を取りやめた。ソウル大学医学部を卒業後、安哲秀研究所を起業してV3というPCウイルス対策ソフトを開発し、それを無償配布した。その後、「青春コンサート」を企画し、李明博(イ・ミョンバク)政権の格差拡大を促進する新自由主義的な経済政策運営に対する批判的な発言を続けるなどして、20~30代の若者にカリスマ的な人気を博す。特に、「noblesse oblige(社会的有力者の高い道徳的義務)」を実践した生き方が若者の共感を呼ぶ。11年ソウル市長選挙には立候補せず朴元淳(パク・ウォンスン)現市長の当選を後押しした。大統領選挙では文在寅候補支持に回ったが、文在寅候補は落選した。今後野党民主統合党の行方とともに、どのような政治活動を展開することになるのか、格差拡大、就職難という韓国社会の問題を背景とした若者を中心とする、与野党を含めた既成の政党に対する不満の受け皿になってきただけに、今後の政治活動に注目が集まる。