中国と北朝鮮との関係。中国と北朝鮮とは同じ共産主義陣営に属し、朝鮮戦争では中国が参戦することで国家存亡の危機に瀕した北朝鮮を救った。さらに、1961年中朝友好協力相互援助条約を締結、同盟関係を結ぶ。60~70年代、中ソ対立のはざまで北朝鮮は主体思想に基づき自主の立場を強めるが、ソ連よりも中国との関係が緊密であった。だが、冷戦の終結に伴う92年中韓国交正常化とそれに伴う中韓関係の発展は北朝鮮の孤立感を深めた。しかし、2000年以降、制裁強化による経済困難、南北協力の増大への警戒感から、北朝鮮の対中国依存が従来以上に高まる。中国も北朝鮮の核開発には手を焼きながらも、「唇歯の関係」と形容される北朝鮮の「防波堤」としての役割を認め、また北朝鮮の混乱がもたらす影響を考慮し、北朝鮮の非核化よりも政治的安定を優先させ金正日(キム・ジョンイル)体制への支持を明確にする。哨戒艦天安沈没事件や延坪島砲撃事件でも北朝鮮寄りの姿勢を明確にした。10年5月以後、金正日が4度も訪中したことも、金正日死後、金正恩(キム・ジョンウン)体制への支持を中国がいち早く明確にしたのも、中朝の共通利害を反映している。金正恩体制下、北朝鮮の対中国依存はますます高まることが予想されるが、北朝鮮も中国による一方的な制約を嫌うだけに中朝関係には潜在的な葛藤が内包される。