韓国の原子力開発は、1957年国際原子力機関(IAEA)加盟以後進められ、78年の古里原子力発電所第1号機稼働を皮切りに、急速な経済発展に伴って増大する電力需要をまかなうために積極的に取り組まれ、2012年末現在23基の原発が稼働中であり、5基が建設中である。さらに、1970年代には、朴正煕(パク・チョンヒ)政権の下で軍事目的を含めた独自の核開発も試みられたが、アメリカの反対などによって中断された。2011年3月の東日本大震災に伴う日本の福島原発事故の衝撃を受け、さらに、老朽化した原発にかかわる小事故が多発したこともあり、韓国国内においても原発の安全性に対する関心の高まりが見られた。その結果、「脱原発」を掲げる「緑の党」なども出現した。しかし、北朝鮮の核開発の既成事実化が進んだことを意識し、さらに、使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮が認められていない米韓原子力協定の改正を要求するなど、むしろ、「核の主権」の確保を意識して原子力開発を積極化する動きも進んだ。その結果、必ずしも原発問題は、12年4月の総選挙や12月の大統領選挙の政治的争点にはならなかった。12年3月には、ソウルで第2回核サミットが開催された。