MERSは、日本では「マーズ」、韓国では「メルス」と発音するが、中東呼吸器症候群と呼ばれる感染症であり、韓国において2015年5月以降12月に終息宣言が出されるまで、中東からの帰国者を感染源としてソウル首都圏を中心に一大流行し、186人の感染者と38人の死者を出すという、一連の非常事態を引き起こした。発生当初、韓国政府が事の重大性を認識せず安易に対応したこと、韓国で最も先進的だと見られていた三星(サムソン)病院が院内感染などを通して感染拡大の起点となったことなど、韓国が先進国になったにもかかわらず、それに似つかわしくない対応を政府や社会がとったことへの反省が提起された。また、日中からの観光客の激減や経済社会活動の萎縮などをもたらし、韓国経済に大打撃を与えた。