2016年10月、朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領の長年の知人である崔真実(チェ・スンシル)が大統領の権力を笠に着て、国政を壟断(ろうだん)して私腹を肥やしたにもかかわらず、朴槿恵大統領はそれを黙認するだけでなく、国政運営の相当部分を崔真実に依存していたことなどがマスコミによって暴露された(「崔真実ゲート」とも称される)。それに対する朴槿恵大統領の対応が適切でなかったこともあり、10月以降、ソウルの中心街では朴槿恵大統領を批判する10万人規模の大集会が毎週末開催された。そうした世論の圧力の前に、国会も、与党(セヌリ党)議員の半分以上までもが賛成票を投じることで、16年12月9日、朴槿恵大統領に対する弾劾訴追を可決した。そして、17年3月10日、憲法裁判所は、任期1年弱を残して朴槿恵大統領を大統領職から罷免することを決定した。その後、3月31日に職権乱用や収賄の容疑で朴槿恵は逮捕され、現在収監中の身で裁判に臨んでいる(2018年2月時点)。朴槿恵は故・朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の長女として、韓国政治における保守勢力の象徴的存在であっただけに、保守勢力にとっての打撃は計り知れないものがあり、その結果、17年5月9日の大統領選挙でも進歩(リベラル)勢力の文在寅(ムン・ジェイン)候補が圧勝し大統領に就任した。