社区とは一般にcommunityと訳され、日本の共同体に相当する概念である。社区が改革開放の過程で議論されるようになってきたころは、様々な解釈、概念領域があり、農村の自然村落、郷・鎮、地方の中小都市なども社区と見なす主張もあった。今日、農村の村民委員会に対応する都市の居民委員会、さらにはそれを包括する生産・生活の基層組織であった単位制度が変容・形骸化する中で、新たに社区を中心として都市の基層組織を再編成し、都市社会の制度化、秩序化を図ろうとする動きが主流になってきた。地域によって、住民の自主性にウエートを置いた社区建設、党委員会あるいは上級政府のコントロールを重視する社区建設など依然多様である。しかし経済発展と市民社会の形成は不可避であり、市民の参加する社区の行方は中国都市社会の今後を考える上で鍵になる。(→「選挙制度」)