2013年にカンボジアで再任されたフン・セン首相による政権。任期は5年。フン・センは、カンボジア内戦中に親ベトナム派の人民革命党政権の外相として頭角を現し、1985年に首相に就任。91年のパリ和平協定を受けて、党の指導者として国連主導の和平に協力し、人民党に改称した。92年の初の総選挙ではラナリット派のフンシンペック党に敗れて第二首相に甘んじたが、98年にクーデターでラナリット第一首相を追放して再び実権を握った。以来、フン・セン政権は野党勢力を封じ込めて、長期政権を続けている。観光業や製造業を中心に、外資主導の経済は好調だが、都市と農村の格差は広がり、強権支配は強まる一方で「開発独裁」になっている。2013年の総選挙では、サム・レンシー党首率いる最大野党救国党の躍進を許すも、選挙の不正を糾弾する同党支持勢力のデモを鎮圧。15年にはサム・レンシーの外遊中に名誉棄損で逮捕状を発行して亡命状態に追い込んだ。別件で訴追された同党のケム・ソカー副党首は党本部に立てこもって抵抗。同党の国会議員も審議をボイコットしたが、国会は救国党不在のまま法案を通過させた。矛先はメディアにも向けられ、政権に批判的な英字紙カンボジア・デイリー紙は17年8月、税務当局から巨額の罰金を請求されて休刊。SNSの投稿などにも厳しい弾圧を加えている。ケム・ソカーは17年9月に国家反逆罪で逮捕され、11月には最高裁が救国党に解党命令を出した。18年2月の上院選挙では、与党が全議席を独占。同年7月には総選挙が予定されるが、野党不在の選挙戦になりそうだ。