マレーシア最大の政党で、与党連合の国民戦線(BN)の中核をなすマレー人政党。1957年にイギリスから独立して以来、歴代首相はUMNO(ウムノ)総裁が務めてきた。多民族国家マレーシアは、人口の67%を占めるマレー系に加えて、中華系(25%)、インド系(7%)などから構成されるが(外務省:「マレーシア基礎データ」2015年9月より)、UMNOは華人、インド人政党との連合により政権の安定を図ってきた。BNは、1969年にマレー人と華人が衝突した「人種暴動」後に結成され、現在はUMNOを軸に、マレーシア華人協会(MCA)、マレーシア・インド人会議(MIC)など多数の政党で構成する。81年以来20年以上も長期政権を維持したUMNO総裁のマハティール・モハマド首相が、98年、後継者と目されていたアンワル・イブラヒム副首相兼蔵相を「同性愛行為」などを理由に解任。2004年にアブドラ・バダウィがマハティールの後任総裁となったが、08年の総選挙で与党連合が惨敗し、ナジブ・ラザク副首相が翌09年4月に総裁と首相に就任した。しかし、与党の退潮は13年5月の総選挙でも歯止めがかからず、得票率で野党連合を下回った。とくに都市部の華人の支持を失って、14年6月まで華人系政党出身の閣僚がいない状態が続いた。15年にもナジブ首相個人の資金疑惑が報じられるなど、国民の支持を回復する道は険しそうだ(→「ナジブ政権」)。一方、野党連合の人民連盟も、厳格なイスラム法に基づくハッド刑(死刑を含む身体刑)導入をめぐり分裂。15年9月には、導入に慎重だった野党3党による「希望連盟」が立ち上げられた。