東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国を統合する「ASEAN共同体(ASEAN Community AC)」構想の中核として、域内でヒト・モノ・カネの移動が自由にできるようにする体制。2015年12月に発足。これにより人口約6億2000万人、国内総生産(GDP)が総計2兆6000億ドル近い巨大経済圏がアジアに誕生することになった。ただ、欧州連合(EU)のような単一通貨などは導入を予定しておらず、「緩やかな統合」を目指している。AECは「単一の市場・生産拠点」「競争力のある経済地域」「公平な経済発展」「世界経済(グローバル経済)との統合」という4本柱を掲げて、(1)域内関税の完全撤廃、(2)外資規制の緩和、(3)熟練労働者の移動自由化などを進めていく。加盟国は1993年にASEAN自由貿易圏(AFTA)を設立したが、中国やインドの台頭、97年のアジア通貨危機などを受けて、AEC発足の前倒しを決めた。先行しているタイ、シンガポール、インドネシアなど6カ国は、すでに99%以上の関税を撤廃。ベトナム、ミャンマーなど残りの4カ国も2018年までに関税撤廃を目指している。15年11月の首脳会議で、残る課題のサービス・投資の自由化や非関税障壁の撤廃について、今後10年間で実現するための「工程表」を発表した。ASEAN共同体は、経済共同体のほかに政治・安全保障共同体(APSC)、社会・文化共同体(ASCC)を掲げ、3つの柱としている。