2014年4月、アメリカのオバマ大統領のマニラ訪問に際して、同国とフィリピンが締結した新たな軍事協力協定。中国の南シナ海への軍事進出をにらんで、フィリピンへの米軍派遣を日常化する内容で、1990年代初頭にフィリピンから全面撤退したアメリカ軍が、再びプレゼンスを確保することになった。オバマ政権の掲げる「アジア回帰」政策(→「アメリカのアジア回帰」)の一環でもある。新協定の有効期間は10年で更新もできる。フィリピンに恒久的な米軍基地は建設しないとしつつも、アメリカ軍はフィリピン軍の全基地を使用できると定めており、航空機や艦船の巡回派遣も可能になる。協定の締結後は、92年まで米軍基地があったスービック湾などに米軍艦船などの寄港が活発になっている。米軍駐留への反発が根強いフィリピン議会での批准手続きを避けるため、正式の条約ではなく、冷戦期の米比相互防衛条約(51~)の枠組みを強化する行政協定の形をとった。