2016年1月の第12回党大会で再選されたベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長は2期目の指導部を刷新。ライバルだった非主流派の南部出身グエン・タン・ズン首相を解任し、グエン・スアン・フック副首相を首相に昇格させた(→「ベトナム共産党」)。フック新首相は中部クアンナム省出身で中部出身の首相は初めて。また、後継者候補と見られているチャン・ダイ・クアン元公安相を国家主席に起用。国会議長には南部出身の女性、グエン・ティ・キム・ガン国会副議長を充てた。一方、ナンバー2だったチュオン・タン・サン国家主席も退任、ズン前首相の右腕とされたホーチミン市党委員会書記ディン・ラ・タン政治局員も17年5月に解任され、さらに同年12月、国営石油会社ペトロベトナム会長在任時(06~11年)に同社及び関連会社の資金運用で、国家に巨額の損害を与えたとして逮捕された。18年1月、ハノイ市人民裁判所はタン被告に禁錮13年の有罪判決を下した。タン被告のような党政治局員が汚職の罪に問われるのは異例で、チョン指導部の汚職摘発への決意を示すとともに、ズン元首相の人脈を一掃するための権力闘争という見方もある。ペトロベトナム子会社にからむ汚職事件では、タン被告を含む22人が執行猶予付きの禁錮30か月から終身刑の判決を受けた。