マルクス・レーニン主義とホー・チ・ミン思想を掲げて、ベトナムを一党独裁体制で支配する政党。現行憲法で「ベトナム共産党は国家・社会の指導的勢力」と定められている。1930年にホー・チ・ミンによって結成され、インドシナ共産党、ベトナム労働党と改称された後、南北統一後の76年にベトナム共産党となる。2016年1月に開かれた第12回党大会で、序列第1位の書記長には、保守派で長老格のグエン・フー・チョン現書記長が留任することになった。任期は5年。報告に立ったチョン書記長はドイモイ政策(刷新政策)路線を堅持して、経済成長モデルを刷新し続けることを確認し、「社会主義を志向する市場経済を発展させる必要がある」と強調した。また、党大会は、年平均6.5~7%の経済成長を目指す方針も決定した。党大会の前は世代交代を予想する声が強かったが、改革派で経済政策を取り仕切ってきた南部出身のグエン・タン・ズン首相やチュオン・タン・サン国家主席(大統領)は引退した。ズン首相は14年に南シナ海での中国による海底油田の掘削作業を名指しで厳しく批判した経緯があり(→「ベトナム反中デモ」)、今回の人事には対中政策の路線の違いが影響したという見方もある。ただ、ベトナム共産党は「集団指導体制」の伝統が堅持されており、大国とのバランスを維持する外交路線は、大枠では変わりないと見られる。