シンガポールのマレー系女性政治家。2017年9月に第8代大統領に就任した。任期は6年。女性大統領は同国で初めて。1954年生まれ、シンガポール国立大学大学院修了。産業別労働組合(電気・電子産業)事務総長や国際労働機関(ILO)勤務を経て、2001年に国会議員に初当選。社会・家庭振興担当国務相などを経て、2013年に国会議長に就任。夫との間に2男3女がいる。同国大統領の権限は限られている。今回はマレー系のみが立候補できる初の選挙で、大統領選挙委員会は立候補した3人のうち、ハリマ・ヤコブのみに候補者資格を認め、無投票で就任が決まった。ハリマ・ヤコブは「選挙のあるなしにかかわらず、シンガポール国民に対する情熱、奉仕の決意は変わらない」と述べた。中華系、マレー系、インド系など多民族国家のシンガポールで、マレー系は過去5期就任していなかった。このためリー・シェンロン首相(→「リー・シェンロン政権」)の主導で16年に憲法を改正。5期連続で大統領を輩出していない民族があれば、次の選挙はその民族だけが立候補できること、民間出身の場合は大企業の会長やCEO(最高経営責任者)の経験を有することなどの条件が付されていた。