「純粋者の軍隊」の意味。パキスタンのイスラム過激派武装組織。イスラムの純化をめざすワッハーブ派の系統をひき、1989年に創始された「信徒宣教団(MDI)」の軍事部門。指導者はハフィーズ・ムハムマド・サイード。当初はアフガニスタンで活動、アルカイダとも関連をもち、しだいにカシミールでのテロ活動に深く介入した。2001年の同時多発テロ後、アメリカによるテロリスト集団の認定をうけ、パキスタン政府も非合法化したが、組織改編によって活動を継続している。「カシミール過激派」の呼称は正確でなく、インド(さらにはイスラエル、アメリカ)の存在そのものをイスラム支配の敵とみなすことが根本理念である。01年12月のインド連邦議会襲撃以降、インド国内にもネットワークをもち、多くのテロ活動を組織。死者187人を出した06年7月のムンバイでの連続列車爆破事件、さらには08年11月のムンバイ同時テロ事件への関与したことは確実である。ただし三軍統合情報部(ISI)との密接な関係を維持し、タリバンとは異りパキスタン政府自体を公然と敵視する行動はとっていないため、政府による厳しい摘発を免れている。