全国の貧困層、妊婦、母親、14歳までの子供に対する、食糧や手当の支給を国の義務と定めたインドの統一進歩連合(UPA)政権による立法。全国農村雇用保障事業と並んでUPA政権の福祉政策の柱である。2013年8月に連邦議会で成立したが、14年春に予定される次期連邦下院選挙への布石とみられている。同法によれば、全国の67%の世帯(農村世帯の75%、都市世帯の50%)に対して一人1カ月当たり5キロの食糧支給が、コメの場合キロ当たり3ルピー(約5円)で保障される。また、すべての妊婦、授乳期の母親には出産後6カ月間までの給食と6000ルピーの母性手当が支給される。さらに6カ月から14歳までの子供に給食を行うことが国に義務づけられた。これらの実務は州政府が担当するが、食糧(穀物)の調達と州政府への供給は、その費用も含め中央政府(インド食糧公社)の負担となる。これらの措置が実施されない場合、政府は食糧保障手当を支払わねばならない。施行は、制定から1年以内である。この立法は、すでに各州で実施されている配給制度、学校給食事業などを統合したものであるが、義務化されることで、実施主体となる州政府の負担は格段に重くなった。規定通り実施できる州とその能力に欠ける州との格差が生まれることは避けられない。将来的には進行中の「インド国民固有番号」制度が、この事業の行政インフラとして利用されることになるとみられる。(→「インド国民固有番号庁(UIDAI)」)