日本語では民族奉仕団とも訳される。インドでは頭文字を用いてアール・エス・エス(RSS)と呼びならわす。インド独立前の1925年に、西部インドのバラモン出身の医師、K・B・ヘードゲーワールによって創設されたヒンドゥー至上主義団体。独立前から「ヒンドゥー民族」の一体性を強調し、独立後はそれをもとに、国家のヒンドゥー至上主義的な統一を主張してきた。そのために、反イスラム教徒暴動の火付け役として、しばしば批判されてきた。本来ヒンドゥー教徒の高位カーストを支持基盤としたが、近年では下位カースト、部族、また女性の間にも浸透している。支部組織を軸にした動員や奉仕活動を特徴とし、黒の帽子、白の半袖シャツにカーキの短ズボンという制服姿での支部集会の情景がよく紹介される。RSSを「文化団体」と規定する見方もあるが、実際にはその幹部(プラチャーラク=布教者)は、世界ヒンドゥー協会(VHP)、インド人民党(BJP)、インド労働者団(BMS)など、宗教団体、政党、労働組合をはじめとするきわめて広範な分野で、傘下団体の幹部として派遣されている。これらRSSの傘下団体は一括して「サンガ・ファミリー」と称される。