2013年7月13日、第2回国民議会(下院)選挙が実施され、ツェリン・トプゲイの率いる野党人民民主党(PDP)が、47議席中32議席を占め、前回の第1回選挙で政権についたブータン調和党(DPT)を破った(→「ブータン王政」)。選挙に先立つ13年6月、インド外務省は両国に「共通する安全保障」にかかわる問題で、ブータンがインドを軽視しているとして、経済援助の見直しを示唆する文書を作成した。7月に入り、インド政府はブータンへの家庭用ガス、灯油への補助金打ち切りを決定した。選挙直前の一連の動きは、ブータンによる中国接近への警告とみられている。前政権のティンレイ首相は、12年6月の環境サミット時に中国の温家宝首相と会談し、近い将来の外交関係の樹立に合意したと伝えられる。選挙結果を受けて7月13日、インドのシン首相はトプゲイに親書を送り、補助金再開と経済計画への援助を約束し、トプゲイ首相も8月末から9月にかけて訪印した。ネパールと同様ブータンにおいても、今後の民主化の過程で、外交が政党間の争点になる事態も予想され、インド政府には慎重な対応が求められている。