温暖化による海面上昇により、数十年後に島全体が水没すると予測されるツバルは、自らを環境難民と宣言して全島民挙げての移住を計画している。ニュージーランドは受け入れに同情的で、オーストラリアのラッド前政権同様に、環境難民としてではなく労働者移民としての受け入れ拡大を約束している(オーストラリアは2008年より受け入れ数を拡大している)。ツバルは、海水の浸透でタロイモ栽培に支障が出ている。同じく浸水問題に悩み、島民9万人の移住を考えはじめているキリバスなどとともに、小島しょ国連合(AOSIS ; Alliance of Small Island States)を結成し、先進諸国の温暖化防止対策強化を求めている。太平洋諸島フォーラム(PIF)は、こうした小島しょ国を代弁して、先進諸国が温暖化対策に真剣に取り組むよう求め、09年8月の会議では50年までに温暖化ガス排出を半減することを先進国に要請する声明を採択している。なおツバルをはじめとする島しょ国は国連気候変動枠組み条約締約国会議にもしばしば代表を送っている。また、PIFの会議においても島しょ国首脳は、地球温暖化による海面上昇で領土が浸水する危機に直面しているとして、欧米など先進国からの対策資金援助の拡大を求めているが、海面上昇については異論も多く、問題解決への課題は多い。なお、ツバルの主な収入源には、1988年の漁業協定によるアメリカ政府よりの支払い、台湾を外交承認する見返りとして得ている援助金もある。政府の主財源は、切手とコインの発行、および海外(主にナウル)で働く労働者からの送金であるが、送金はナウルのリン鉱山の停滞とともに減少しつつある。