2008年11月に発足した、ジョン・キー首相(就任時47歳)が率いる国民党政権。11年11月26日の総選挙で再選され2期目に入る。議会の暫定定数121(一院制、任期3年)のうち、与党国民党は60議席を獲得し、第1党となったものの、今回も単独過半数に届かなかった。消費者・納税者同盟(ACT)党と統一未来党はそれぞれ1議席で1期目から与党に協力している。マオリ党は3議席となったが1期目からの閣外協力を継続。他方、労働党は34議席を獲得している。労働党は、1984年よりロンギ労働党政権がはじめた市場原理主義的な行財政改革の行き過ぎを抑制し、社会資本の充実を約束。公平性、機会均等、安心などの価値観を政策運営指針として掲げてきたが、2008年に入り、物価上昇と景気後退が同時に進むスタグフレーションへの懸念が高まったところに襲った9月以降の金融危機が、逆風となった。一方、かつてメリルリンチで働いていた経歴をもつ国民党のキー党首は、経済運営の変化と安定をうたい国民にアピールするとともに、公共事業などの景気刺激策を公約した。金融危機のさなか、教育・福祉については、労働党政権の政策を3年間据え置くとしたが、新自由主義的な経済政策への復帰を掲げている。キー首相は、貿易自由化に積極的で、09年2月には東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)に署名するとともに、7月にはオーストラリアとの経済緊密化協定の強化を確認し、10月に初来日した際には、日本とのFTA交渉への意欲をも示している。キー政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)メンバー国家として自由貿易を推進している立場から、日本の参加を呼び掛けていた。10年9月および11年2月の地震の影響により、ニュージーランド経済は打撃を受けたものの、11年3月末年度の経済成長率はプラス1.2%であり、ニュージーランド財務省は復興の本格化により、13年3月末年度で3%超の成長を想定している(11/12年度の成長率は2.8%)。